フランスのエンブレムは6社(メーカー)を押さえよう
フランス車は、現在日本で人気になっています。産経ニュースの「フランス車、ニッポンで急加速…個性的なデザイン、SUVなど品ぞろえ拡充で2ケタ成長」を参考にすると、フランス車に対しては、以下のような指摘がなされています。
フランス車の最大の特徴は個性的なデザイン。プジョー・シトロエン・ジャポン(東京)のクリストフ・プレヴォ社長は、「前モデルの4~5倍の売れ行き。購入動機は『デザイン』が多い」と指摘する。
スポーツ用多目的車(SUV)などの品ぞろえも拡充され、多様な顧客のニーズに応えられる態勢が整った
デザインが好評で、『人と違う車に乗りたい』という顧客の受け皿になっている
C3やトゥインゴなど、輸入車の中では比較的、価格が手ごろなこともフランス車人気につながっている
ルノーはフランスのライフスタイルや文化を前面に出した販促を取り入れてきた
そこで、今回は、主要フランス自動車メーカー6社のエンブレムを一気に振り返っていきたいと思います。
1、ALPINE(アルピーヌ)
ルノーのディーラーを経営し、自らステアリングを握ってレースにも参戦していたジャン・レデレが1956年にパリにALPINE(アルピーヌ)を設立したのが始まり。
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2017年に新型アルピーヌ A110を発表。海外ではすでに予約受注が行われていましたが、2018年6月22日、ついに日本での受注開始が発表されました。
ちなみにアルピーヌは、車のフロント部分はエンブレムではなく、均整の取れた「ALPINE」という文字が並んでいます。エンブレムのインパクトをそぎ落とすことで、全体のイメージを非常にスタイリッシュにしているように思えます。
2、BUGATTI(ブガッティ)
創始者はミラノの芸術家一族出身であるエットーレ・ブガッティ。1909年に当時ドイツ領だったアルザス地方(現在フランス国内)に移住し、モールスハイムにスポーツカーメーカーを興したのが始まりです。
幾度となく企業買収を繰り返されながら、1987年にイタリアの実業家ロマーノ・アルティーオリが獲得にこぎつけ、イタリアのモデナにブガッティ・アウトモビリを設立し、建築家のジャンパオロ・ベディーネの手による鮮烈なエクステリアと560psのV12クアットターボで武装した「EB110」によってスーパーカー界に返り咲きました。
スーパーカーの遺伝子は、2016年から全世界500台限定で製造しているスーパーカーCHIRON(シロン)へと受け継がれています。
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カーボンモノコックのボディのミッドにW16クアッドターボエンジンを搭載し、4輪駆動。最高出力は1500psを発生、トルクは1600Nmで、最高速度は420km/h。100km/h加速までおよそ2.5秒とアナウンスされています。
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価格は日本円で約3億円からという桁外れの超高級車になります。
3、CITROEN(シトロエン)
ダブルヘリカルギヤ(山型歯車)などの製造で業績を伸ばしていたポーランド系フランス人のアンドレ・シトロエンが、1919年に自動車産業に進出したことがきっかけで生まれたメーカー。フランスメーカーとしては後発でしたが、フォード流の大量生産システムを積極的に取り入れて、急成長を遂げます。1934年にはモノコック&前輪駆動としては世界初の量産車となる「トラクシオン・アバン」の生産を開始。
PEUGEOT(プジョー)に吸収された1976年以降は、プラットフォームやパーツの共有化が図れています。今もなお、前衛的で独創性に溢れた佇まいを武器に、世界市場の中で異彩を放ち続けています。
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上記の写真はシトロエンのBERLINGO(ベルランゴ)です。フランスを中心にヨーロッパのの商用車としてポピュラーとなっているブルゴネットボディで、2018年に三代目へモデルチェンジがなされました。質の高いインテリアに加え、頭上を見上がれば、大型のサンルーフの下にブリッジのようなサブルーフが設けられ、天井が二重構造になっていて、アヴァンギャルドな仕掛けが魅力です。
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こちらはシトロエンのC4 SPACETOURER(スペースツアラー)です。ミニバンらしからぬ、強くて逞しいエクステリアが特徴です。価格は350万円前後~380万円。上記の2車の画像を見ても分るように、シトロエンのフロント部分はエンブレム(三角のような部分)がパーツのデザインと一体化して、非常に綺麗な構成をなしています。
4、DS
1955年に華々しくデビューし、オイルとガスを使ったハイドロニューマチックサスペンションに象徴される先進的なメカニズムとまるで宇宙船ような前衛的なデザインが人々を驚かせ、歴史に残ることになったシトロエンDS。
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上記写真は1960年のシトロエンDSです。
1976年からは同じフランスの競合自動車会社プジョーに主導されるかたちで、企業グループPSA・プジョーシトロエンの傘下となっています。常に先進性を求め、懐古趣味を良しとしないフランスメーカーの象徴的な存在です。
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上記の写真はD7 CROSSBACK(クロスバック)です。2017年3月のジュネーブショーでワールドプレミアムを飾ったSUVです。優雅なデザインにDSのモチーフであるダイヤモンドを随所に取り入れていて、大胆かつ繊細な作りになっています。往昔のようなヘッドライト、クロノグラフが装備されたホーイルなどプレミア感満載の一台となっています。カメラによって路面の状況をモニターして、サスペンションの減衰力を事前に成業する機構やナイトビジョンも採用されています。
5、PEUGEOT(プジョー)
世界で最も長い歴史を有する自動車メーカーの1つであるプジョー。創業は19世紀初頭で、家族経営の製粉業、金属製造業から転じて、自動車の製造業を手掛けるようになりました。
1970年代は経営不振だったシトロエンを合併、PSAグループ(プジョー、シトロエン、DS、オペル、ボクスホールブランドで自動車の製造・販売を行っているフランスの多国籍企業)となり、欧州を代表する自動車メーカーの一つになります。2017年にはGM系メーカーののオペル(Opel)/ボクゾール(Vauxhall)を買収し、グループ全体の生産規模は欧州屈指となっています。
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上記はラインナップの旗艦モデルとして2011年にデビューした508です。2018年のジュネーブショーで2代目のセダンが発表されました。新型のボディはクーペを思わせる端正なスタイルとなっています。エンブレムは特徴的なライオンです。 元来プジョーが営んでいた金属製造業でのノコギリに使われていたマークで、品質の証として「ライオンの歯のような(刃の強さ)」 「ライオンの体躯のような(刃のしなやかさ)」 「ライオンの走りのような(速い切断速度)」の3つを意味するライオンマークが付けられました。
6、RENAULT(ルノー)
エンジニア出身のルイ・ルノーが1898年に設立したようになりましたーろっぱ有数のフルラインメーカー。かつてはルイ本人が自作の2ストローク者でモンマルトル丘を駆け上がり、その場で10代以上の受注を集めたという逸話があります。
エンブレムの菱形はダイアモンドを意味したもので「ルノーダイヤモンド」と呼ばれています。豪華さ・技術・上品さ・合理性といったルノー車の品質の高さやダイナミズムを表しています。
コマーシャルバンから大型トラックまでを揃えるフルラインメーカーとして、世界中、特にヨーロッパ、ロシア、北アフリカにおいて圧倒的なシェアを誇っています。
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上記の車はMEGANE(メガーヌ)です。2015年にモデルチェンジが施され、4代目となりました、MEGANE R.Sは世界最速FFモデルの一台に挙げられ、日本でも絶大な人気を誇っています。
最後に
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エンブレム知って、そして、メーカーの知識を少しで掘り下げると、道を走る外車にもより目が届き、車への興味や関心がぐっと深くなります。これからますます日本に馴染み深くなっていくフランス車。ぜひ、エンブレムだけでも覚えてみて下さい。