原則として、物損事故は運転記録証明書への記録は残りませんが、条件によっては記録に残ってしまうこともあります。
会社から帰る際に運転手が不在の車にぶつけてしまった。自動車保険を使いたいので、保険会社に連絡をしたが、警察へは連絡した方がいいのかどうか迷っている。
このような場合、物損事故であり交通違反もしていないので記録は残りません。しかし、もしその際あなたが飲酒運転をしていたなど、交通違反をしていたのであれば運転記録証明書への記録が残ってしまいます。
無事故無違反の条件は少しややこしく、事故をした=記録が残るとは限りません。いろんな条件があり混乱してしまいますが、この記事で細かくお伝えします。
物損事故とは
物損事故の条件とは、人がケガや死亡していない事故を指します。物損事故になるかどうかは被害状況で判断します。
事故直後は物損事故としていたけど、後日、相手が痛みを訴えたりケガが見つかった場合、人身事故へ変更になる場合もあるため、もし今は痛くない場合でも病院で検査をしてもらうことが大切です。
物損事故は相手の車にぶつけてしまったというような、相手がいる場合はもちろん、自分の駐車場でガレージの柱にぶつけてしまったというような自損事故も物損事故に含まれます。
物損事故では運転記録証明書への記録は残らない
物損事故では基本的に、運転記録証明書への記録は残りません。車を運転する仕事をしている方のなかには、私生活での事故や違反がない証明として毎月、運転記録証明書を提出しなければならない方もいると思います。
物損事故をしてしまったから記録が残ってしまうと焦り、黙って逃げてしまおうとするのは危険です。当て逃げは悪質な道路交通法違反です。もし捕まってしまうと1年以下の懲役、又は10万円以下の罰金という処罰が待っています。
物損事故でも必要であれば警察に連絡することが大切です。
運転記録証明書とは
運転記録証明書とは、過去におこした交通違反、交通事故、運転免許の行政処分を記した証明書です。期間は「5年」「3年」「1年」と必要に応じた期間を選ぶことができます。
最長でも5年前の記録しか見ることができず、5年以前の記録の証明はできません。
ただし物損事故でも交通違反をしていた場合記録が残る
物損事故は原則として、記録は残りませんが物損事故でも交通違反をしていた場合は記録として残ります。例えば、相手不在の車にぶつけてしまったけど、運転手が飲酒をしていたなどであれば、飲酒運転に該当するので記録として残りますし、飲酒運転の罰則が適応されます。
また、公共施設の駐車場の場合、道路交通法が全く適用されないというわけでもありません。道路交通法では安全運転の義務や見通しが効かない交差点での徐行義務などを記しているため、これらのルールを守らずに自損事故を起こした場合、交通事故として取り扱われることもあります。
どの駐車場であれば適用されるかどうかは、場所や条件によって異なるので一概にお伝えするのは難しいです。ただ、不特定多数の方が行き来する駐車場では、最低限のルールを守らないと物損事故でも記録が残ってしまう可能性があります。
物損事故でも交通事故証明を発行できる
物損事故でも交通事故証明書を発行できます。交通事故証明書とは、交通事故が起きたということを証明する用紙です。
車両保険を使い修理を行う場合、必要になるケースがあります。先ほど、物損事故の場合記録は残らないとお伝えしましたが、交通事故証明を発行すると記録が残るのではないかと心配している方もいるでしょう。
物損事故で交通事故証明を発行できるのに、運転記録に残らないという矛盾の理由は、交通事故の条件が異なるからです。運転記録証明書や無事故無違反証明書として記録される交通事故とは、人身事故に該当する事故を指します。
つまり、相手の車というような物損のみの事故であれば、交通事故とならないのです。それに対し交通事故証明書は、人身事故でなくても警察を呼んでおけば発行できます。
ただし、私有地での自損事故の場合発行できないこともあるので注意が必要です。このように、各証明書では交通事故の条件が異なるため、記録は残らないけど事故証明書は発行できるという矛盾ができてしまっています。
物損事故で違反をしていなければ点数も加点されない
物損事故の場合、免許証への違反点数の加点は行われません。(違反をすると加点を行います。)運転免許の加点も、運転記録証明と同様に人身事故を交通事故と定義しているためです。
物損事故の場合でも警察に連絡を
物損事故の場合でも必要であれば警察に連絡を行いましょう。交通事故証明書は、自動車保険や場合によっては車両保険を利用する際に必要な書類です。
運転記録証明書へ残るかもしれないと不安になり警察へ連絡をせず処理をしてしまうと、後日警察へ連絡をしたとしても事故証明書を発行してくれません。そのため、物損事故を起こし保険会社へ連絡を入れる際、交通事故証明書は必要かどうかを確認しておくことをおすすめします。