自動車保険の等級とは?
仕組みと保険料への影響
「事故で保険を使うと、来年から保険料が上がる」
聞いたことはあるけど、具体的にどのくらい上がるのか分からない方も多いはず。
等級制度の仕組みと割引率、等級の引き継ぎルール、保険料を安くするための等級活用法を解説します。

梅原 隆也|カーライフアドバイザー
自動車関連事業で22年の経験を持つカーライフアドバイザー。福岡で中古車販売店の店長を務めた後、板金塗装工場での修行や認証工場での磨き・コーティング担当を経験し、受付としては月間300件の問い合わせに対応してきました。業界の裏側を知るプロとして、ユーザー視点の本音のアドバイスを発信しています。
自動車保険の保険料は、「等級」によって大きく変わります。
等級が高いほど割引率が高く、等級が低いほど割引率が低い(または割増になる)仕組みです。初めて保険に入ると「6等級」からスタートし、1年間無事故なら翌年は1等級上がります。逆に事故で保険を使うと等級が下がり、さらに「事故有係数」というダブルペナルティが発生します。
この記事では、等級制度の仕組み、全等級の割引率一覧、等級の引き継ぎルール、そして等級を最大限活用して保険料を安くする方法を解説します。
等級制度のポイント
20等級で最大63%割引。事故で保険を使うと3等級ダウン+事故有係数3年のダブルペナルティ。
等級を理解すれば保険料の節約や「保険を使う・使わない」の判断が正しくできます
等級とは?基本の仕組み
等級制度のポイント
- 等級は1等級〜20等級の20段階(一部共済では22等級)
- 初めて保険に入ると6等級からスタート
- 1年間無事故なら、翌年1等級アップ
- 事故で保険を使うと、翌年1等級または3等級ダウン
- 等級が高いほど保険料が安くなる(20等級で最大63%割引)
- 保険会社を変えても等級は引き継がれる
初めての契約
6等級
1年無事故
7等級
毎年無事故
…
最高等級
20等級
6等級からスタートして20等級になるまで、最短でも14年かかります。
2台目の車は「7等級」からスタートできる
1台目の車が11等級以上の場合、2台目の車は「セカンドカー割引」で7等級からスタートできます。
等級情報は保険業界で共有されている
等級情報は損害保険料率算出機構のデータベースで全保険会社が共有。「低い等級を隠して他社で新規契約する」ことはできません。

等級は「保険の信用スコア」のようなものです。長年コツコツ築いた高い等級は本当に大事。20等級のお客様と6等級のお客様では、まったく同じ補償内容でも保険料が2倍以上違うこともあります。
全等級の割引率・割増率一覧
「無事故」と「事故有」で割引率が異なる点に注目してください。7等級以上では大きな差が生まれます。
| 等級 | 無事故 | 事故有 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1等級 | +108% | +108% | 契約拒否リスクあり |
| 2等級 | +63% | +63% | |
| 3等級 | +38% | +38% | |
| 4等級 | +7% | +7% | |
| 5等級 | −2% | −2% | |
| 6等級 | −13% | −13% | ★ 新規スタート等級 |
| 7等級 | −27% | −14% | セカンドカー割引 |
| 8等級 | −38% | −15% | |
| 9等級 | −44% | −18% | |
| 10等級 | −46% | −19% | |
| 11等級 | −48% | −20% | |
| 12等級 | −50% | −22% | |
| 13等級 | −51% | −24% | |
| 14等級 | −52% | −25% | |
| 15等級 | −53% | −28% | |
| 16等級 | −54% | −32% | |
| 17等級 | −55% | −44% | |
| 18等級 | −56% | −46% | |
| 19等級 | −57% | −50% | |
| 20等級 | −63% | −51% | ★ 最高等級 |
※損害保険料率算出機構の「自動車保険参考純率」を参考。保険会社によって多少異なります。
20等級を維持すると63%割引
20等級・無事故を維持すると保険料が約63%割引。仮に基本保険料が10万円なら約3.7万円で済む計算です。
事故有係数とは?同じ等級でも保険料が違う理由
2013年10月に導入された「事故有係数」。保険を使ったときの保険料アップは「等級が下がる分」だけではありません。
事故有係数の仕組み
- 事故で保険を使うと、同じ等級でも「事故有」の割増引率が適用される
- 3等級ダウン事故 → 事故有係数は3年間適用
- 1等級ダウン事故 → 事故有係数は1年間適用
- 適用期間中に再度事故 → 最大6年まで延長
- 例:10等級で無事故なら−46%、事故有だと−19%。同じ等級でも保険料が約1.5倍違う
具体例:15等級で3等級ダウン事故を起こした場合
| 年 | 保険を使わなかった場合 | 保険を使った場合 |
|---|---|---|
| 事故の翌年 | 16等級・無事故(−54%) | 12等級・事故有(−22%) |
| 2年目 | 17等級・無事故(−55%) | 13等級・事故有(−24%) |
| 3年目 | 18等級・無事故(−56%) | 14等級・事故有(−25%) |
| 4年目 | 19等級・無事故(−57%) | 15等級・無事故(−53%) |
4年目でようやく事故有係数が外れますが、等級自体は3つ低いまま。元の等級に戻るにはさらに3年かかるため、完全な回復には合計6年必要です。
保険を使うかどうかの判断はここが鍵
「等級ダウン+事故有係数」のダブルペナルティの影響額を計算して、修理費と比較することが大事です。詳しい判断方法は「事故で保険を使う?使わない?損しない判断基準」をご覧ください。
等級が下がる3つのパターン
| パターン | 翌年の等級 | 事故有期間 | 該当する事故例 |
|---|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 3等級ダウン | 3年間 | 対人・対物、自損、当て逃げ |
| 1等級ダウン事故 | 1等級ダウン | 1年間 | 盗難、台風・洪水・雹、飛び石、いたずら |
| ノーカウント事故 | 影響なし | なし | 人身傷害のみ、弁護士特約のみ、ロードサービス |
ケース:20等級で3等級ダウン事故
条件:現在20等級(無事故)、年間保険料5万円で3等級ダウン事故を起こした場合
| 年 | 事故なしの場合 | 事故ありの場合 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 20等級(無事故):5.0万円 | 17等級(事故有):約7.5万円 | +2.5万円 |
| 2年目 | 20等級(無事故):5.0万円 | 18等級(事故有):約7.3万円 | +2.3万円 |
| 3年目 | 20等級(無事故):5.0万円 | 19等級(事故有):約6.7万円 | +1.7万円 |
3年間の保険料差額
約6.5万円の増加
ケース:7等級で3等級ダウン事故(要注意)
条件:現在7等級(無事故)、年間保険料7万円で3等級ダウン事故を起こした場合
| 年 | 事故なしの場合 | 事故ありの場合 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 8等級(無事故):約6.0万円 | 4等級(割増+7%):約10.3万円 | +4.3万円 |
| 2年目 | 9等級(無事故):約5.4万円 | 5等級(−2%):約9.4万円 | +4.0万円 |
| 3年目 | 10等級(無事故):約5.2万円 | 6等級(−13%):約8.4万円 | +3.2万円 |
3年間の保険料差額
約11.5万円の増加
※等級が低いときに事故を起こすと、「割増」に転落するため損失額が大きくなります。
ノーカウント事故は遠慮なく使おう
弁護士費用特約・人身傷害保険・ロードサービスは使っても等級に一切影響しません。特にもらい事故での弁護士費用特約は使わないと損です。
等級の引き継ぎルール
引き継ぎできるケース
- 保険会社の乗り換え:A社からB社に変更しても等級はそのまま引き継ぎ
- 車の買い替え:車両入替の手続きをすれば等級を維持
- 家族間の引き継ぎ:同居の家族間(配偶者・同居親族)なら等級を譲渡可能
等級がリセットされるケース
- 満期後13ヶ月を超えた場合:保険の空白期間が13ヶ月を超えると6等級に戻る
- 別居の親族への引き継ぎ:別居の子どもには等級を引き継げない(6等級スタート)
中断証明書で最大10年間等級を保存できる
車を一時的に手放す場合でも「中断証明書」を発行してもらえば、最大10年間等級を保存できます。再度車を購入したときに保存した等級から再開可能。手続きは満期日から13ヶ月以内に。
満期前の保険会社変更は注意
満期を待たずに保険会社を変えると、等級の進みが遅くなることがあります。乗り換えるなら満期のタイミングで。
等級を活用して保険料を安くするコツ
コツ1:軽微な事故では保険を使わない
- 修理費10万円以下の軽微な事故では、保険を使わず自費で修理した方がトータルで安くなるケースが多い
- 等級を守ることは長期的な保険料節約につながる
- 具体的な判断基準は「事故で保険を使う?使わない?の判断基準」で詳しく解説
コツ2:家族間の等級譲渡を活用する
- 子どもが免許を取ったら、親の高い等級を子どもに譲渡する方法が有効
- 親はセカンドカー割引(7等級スタート)で新規加入
- 年齢が高い人の方が低い等級でも保険料が安いため、家族全体の保険料が下がる
コツ3:等級が下がったときの対処法
- 補償内容を見直す:車両保険をエコノミー型にする、免責金額を設定する
- ダイレクト型に切り替える:同じ補償でも年間1〜3万円安くなることも
- 無事故を続ける:毎年1等級ずつ回復。事故有係数も年数経過で消える

等級が下がったお客様から「保険辞めようかな」という相談を受けることがあります。でもそれは絶対にやめてください。無保険で運転するリスクは等級が下がった保険料アップの比ではありません。
まずは補償内容の見直しとダイレクト型への切り替えで保険料を抑え、無事故で等級を回復させるのが正解です。
保険料の具体的な節約方法は「自動車保険を安くする10の方法」で詳しく解説しています。
任意保険がなぜ必要かは「任意保険と自賠責保険の違い」をご確認ください。
よくあるご質問
Q自分の等級はどこで確認できますか?
Q保険会社を変えると等級はリセットされますか?
Q事故を起こしたら、すぐに等級が下がりますか?
Q等級が1等級まで下がるとどうなりますか?
Qロードサービスを使うと等級は下がりますか?
Q事故有係数適用期間とは何ですか?
Q車を手放す場合、等級は消えてしまいますか?
自動車保険の等級制度のポイント
- 等級は1〜20等級の20段階。高いほど保険料が安い
- 初めて契約すると6等級スタート。20等級まで最短14年
- 1年無事故で1等級アップ。事故で保険を使うと1〜3等級ダウン
- 同じ等級でも「無事故」と「事故有」で割引率が異なる(ダブルペナルティ)
- 等級は保険会社を変えても引き継がれる(13ヶ月以内に手続き)
- 家族間の等級譲渡で保険料を節約できる
- 中断証明書で最大10年間等級を保存可能
等級制度を理解しておくと、「事故で保険を使うべきかどうか」を冷静に判断できます。保険会社に試算を依頼して、損しない選択をしましょう。
保険を使うべきかの判断は「事故で保険を使う?使わない?損しない判断基準」をご覧ください。
保険料を安くする方法は「自動車保険を安くする10の方法」をご覧ください。
事故の過失割合は「交通事故の過失割合とは?決め方と事故パターン別の目安」をご覧ください。
事故直後の対応は「交通事故の対応手順|事故直後にやるべき7つのステップ」をご覧ください。
任意保険の必要性は「任意保険と自賠責保険の違い」をご覧ください。
